Claude Codeの「Ultraplan」とは?クラウドで計画を立て、ターミナルを解放する新機能
はじめに
Claude Codeで少し複雑な実装を始めるとき、まず「計画を立てる」ステップを挟むことがあります。
/plan コマンドを使えば、Claudeがコードベースを分析し、実装の手順を整理してくれます。これ自体は非常に便利な機能ですが、ひとつ不満がありました。
計画を立てている間、ターミナルが占有されてしまう。
ローカルでClaudeがコードを読み、依存関係を調べ、計画をまとめている間、自分はただ待っているだけです。数分とはいえ、「今のうちに別のことをしたいのに」と思ったことがある方は多いのではないでしょうか。
Ultraplan は、まさにこの問題を解決するために生まれた機能です。
Ultraplanとは
ひとことで言えば、計画立案のフェーズをまるごとクラウドに移すことで、ローカルのターミナルを解放する機能です。
通常の /plan はローカルで動きます。Claudeがコードベースを1つずつ読み進め、計画を組み立てる——この処理がすべてターミナル上で行われるため、完了するまで他の作業ができません。
Ultraplanでは、この処理がAnthropicのクラウドインフラに移ります。しかも単に場所が変わるだけではなく、複数のエージェントが並列でコードを探索します。あるエージェントがフロントエンドのコンポーネント構造を分析している間に、別のエージェントがバックエンドの依存関係を調べ、さらに別のエージェントが設定ファイルの整合性を確認する——こうした並列処理により、通常4分以上かかる計画が約1分で完了します。
通常のplanとの違い
具体的にどこが違うのか、表で比較してみます。
| 項目 | /plan(通常) | /ultraplan |
|---|---|---|
| 実行場所 | ローカルマシン | Anthropicクラウド |
| 使用モデル | ローカルのClaudeモデル | Claude Opus 4.6 |
| 処理方式 | シングルエージェント | 複数エージェントによる並列処理 |
| 所要時間 | 4分以上 | 約1分 |
| ターミナル | 占有される | 解放される |
| レビュー方法 | ターミナル上のテキスト | ブラウザ上のリッチなUI |
大きな違いは3つです。
1. ターミナルが空く。 計画の生成中も、ターミナルで別の作業(git操作、テスト実行、別ファイルの編集など)ができます。
2. 速い。 並列処理のおかげで、ローカルの約4倍の速度で計画が完成します。
3. レビューしやすい。 ブラウザ上で計画を確認でき、セクションごとにインラインコメントを付けたり、絵文字リアクションで素早くフィードバックを返したりできます。ターミナルのテキスト出力よりも格段に見やすいです。
使い方
前提条件
Ultraplanを利用するには、以下が必要です。
- Claude Code v2.1.91以降
- Claude Code on the webのアカウント(Pro、Max、Team、またはEnterpriseプラン)
- GitHubリポジトリに接続されていること
起動方法
Ultraplanの起動方法は3つあります。
方法1:スラッシュコマンドで直接起動
/ultraplan 認証サービスをセッション方式からJWTに移行する計画を立てて
最もシンプルな方法です。/ultraplan に続けてやりたいことを書くだけです。
方法2:会話の中で自然に起動
ultraplanでデータベースのPostgreSQLへの移行計画を立てて
会話の中に「ultraplan」というキーワードが含まれていると、Claudeが検知して確認ダイアログを表示します。
方法3:通常のplanから切り替え
- 通常の
/planを実行する - 承認ダイアログが表示されたら「No, refine with Ultraplan on Claude Code on the web」を選択
- 確認ダイアログなしでクラウドに移行
ローカルで計画を立て始めたものの、「思ったより複雑だからUltraplanに任せよう」と判断したときに便利です。
ワークフロー
Ultraplanの一連の流れは以下の通りです。
1. 起動 — 確認ダイアログで承認すると、クラウドセッションが開始されます。
2. 監視 — ターミナルにステータスインジケーターが表示されます。
◇ ultraplan
researching...
この間、ターミナルは自由に使えます。
3. レビュー — 計画が完成すると、ステータスが ◆ ready に変わります。表示されたリンクをブラウザで開き、計画を確認します。
ブラウザ上では以下のことができます。
- 計画の全体像をアウトラインサイドバーで俯瞰する
- セクションごとにインラインコメントを付ける
- 修正を依頼して、複数回のリビジョンを重ねる
4. 実行 — 計画に納得したら、2つの選択肢があります。
- クラウドで実装 — そのままクラウド上で実装し、GitHub PRを作成
- ローカルに持ち帰る — 計画をターミナルに送り返し、ローカルで実装
ローカルに持ち帰る場合はさらに3つの選択肢があります。
- 現在のセッションで実装を続ける
- 新しいセッションで開始する(フレッシュなコンテキストで)
- キャンセルしてファイルに保存する(後で使う)
Claudeから質問が来ることもある
計画を立てている途中で、Claudeが判断に迷うことがあります。そのときはターミナルに以下のような表示が出ます。
◇ ultraplan needs your input
たとえば「既存のAPIとの互換性を保ちますか?」「テストは既存のフレームワークで書きますか?」といった質問です。回答すると、Claudeはその方針に沿って計画を修正してくれます。
こういうユーザーに向いている
Ultraplanはすべての場面で使うものではありません。特に効果が大きいのは以下のようなケースです。
大規模なリファクタリングを計画する人
複数のファイル・モジュールにまたがるリファクタリングでは、依存関係の把握だけでも時間がかかります。Ultraplanの並列エージェントは、こうした広範囲の探索を短時間でこなしてくれます。
アーキテクチャの設計判断を必要とする人
「認証方式を変えたい」「データベースを移行したい」「マイクロサービスに分割したい」——こうした大きな設計判断では、コードベース全体を見渡した上で計画を立てる必要があります。ブラウザのリッチなUIで計画をレビューできるのは、こういった場面で特に有用です。
待ち時間を有効活用したい人
ローカルの /plan で4分以上待つのがもったいないと感じている人。Ultraplanなら計画生成中もターミナルが使えるので、git操作やテスト実行など別の作業を進められます。
チームで計画をレビューしたい人
ブラウザ上の計画はURLで共有できるため、チームメンバーにレビューを依頼しやすくなります。「この設計方針でいいか確認してほしい」というケースで便利です。
使わなくてもいいケース
逆に、以下のようなケースでは通常の /plan で十分です。
- 小さなバグ修正 — 影響範囲が明確で、計画を立てるまでもない
- 単一ファイルの変更 — ローカルでも数十秒で計画が立つ
- 定型的な作業 — 手順が決まっている作業に大掛かりな計画は不要
- オフライン環境 — クラウド接続が必要なため、オフラインでは使えない
判断基準はシンプルです。「計画の立案に複数ファイルの探索が必要で、待ち時間がもったいないかどうか」。当てはまるならUltraplan、そうでなければ通常の /plan で十分です。
企業利用時のリスクと注意点
個人で使う分にはほとんど気にならないことでも、企業で利用する際にはいくつかの注意点があります。
コードがクラウドに送信される
Ultraplanはクラウド上で動作するため、リポジトリのコードがAnthropicのインフラに送信されます。個人プロジェクトなら問題ありませんが、企業のプロプライエタリコードを扱う場合は、セキュリティポリシーやNDAとの整合性を確認する必要があります。
確認すべきこと:
- 社内のセキュリティポリシーで、コードの外部クラウドへの送信が許可されているか
- Anthropicのデータ取り扱いポリシー(学習への利用有無、データ保持期間など)が自社の基準を満たしているか
- NDAや顧客との契約で、コードの第三者サービスへの送信に制限がないか
対応プランの制限
Ultraplanの利用には Claude Code on the webのアカウント(Pro、Max、Team、またはEnterpriseプラン)が必要です。無料プランやAPIキーのみの利用では使えません。
また、AWS BedrockやGoogle Cloud Vertex AI経由のClaude Codeでは利用できません。Anthropicへの直接契約が必要です。企業によってはクラウドプロバイダー経由でClaudeを利用しているケースもあるため、契約形態を確認してください。
ベータ版である
2026年4月現在、Ultraplanはリサーチプレビューの段階です。
- 仕様や機能が予告なく変更される可能性がある
- 本番運用のワークフローに組み込む場合は、仕様変更時の影響を考慮しておく
- SLAが保証されていないため、Ultraplanが使えないときのフォールバック(通常の
/plan)を用意しておく
GitHubリポジトリが必須
Ultraplanの利用にはGitHubリポジトリへの接続が必要です。GitLabやBitbucketなど、GitHub以外のGitホスティングサービスを使っている場合は利用できません。
その他の補足
費用について
Ultraplanに追加料金はかかりません。Claude Code on the webのサブスクリプション(Pro、Max、Team、Enterprise)に含まれています。
ただし、並列エージェントが動作するためローカルの /plan よりもトークン消費量は多い可能性があります。Maxプランなどのトークン上限がある場合は、使いすぎに注意してください。
Remote Controlとの排他
Claude Codeの「Remote Control」機能(ブラウザからCLI操作を行う機能)とUltraplanは、同じClaude Code on the webのインターフェースを使います。そのため、Ultraplan実行中はRemote Controlが切断されます。両方を同時には使えない点に注意してください。
進行状況の確認
Ultraplanの実行中に進行状況を確認したい場合は、以下のコマンドが使えます。
/tasks
セッションリンク、エージェントのアクティビティログ、停止アクションが表示されます。
まとめ
- Ultraplanは、計画立案をクラウドに移してターミナルを解放する機能
- 複数エージェントの並列処理により、通常の約4倍の速度で計画が完成する
- ブラウザ上のリッチなUIで計画をレビューでき、インラインコメントやリビジョンが可能
- 大規模なリファクタリングやアーキテクチャ設計など、広範囲のコード探索が必要な場面で特に効果的
- 企業利用時はコードのクラウド送信、ベータ版のリスク、GitHub依存、プラン制限を確認すること
- クラウドで実装してPR作成、またはローカルに持ち帰って実装、の2つの実行パスが選べる
小さなバグ修正に使うものではありませんが、「これから大きな変更に取りかかるぞ」というタイミングでは非常に頼りになります。計画を待っている間にコーヒーを淹れる代わりに、別のタスクを進められる——その数分の積み重ねは、1日単位で見ると意外と大きいものです。